流産癖のある妊婦さんに対する脉診流経絡治療
はじめに
脉診流経絡治療は、妊活期、周産期、産褥期の女性を包括的にケアすることができます。
思うところあり、流産癖のある妊婦さんに対する脉診流経絡治療を記します。
証
肺虚証か心虚証で本治法します。
気が下がっているからです。
陽臓である心肺を使って気を上げます。
肝虚証や腎虚証でやらない方がいいです。
陰臓である肝腎を使うと気が下がるので、余計に流産を促します。
特に左の腎虚証が一番危険です。
妊娠するまでは、肝虚証や腎虚証でやったとしても、妊娠したら、特に流産を繰り返している妊婦さんは肺虚証か心虚証に切り替えます。
適応側
適応側は左です。
左手は気を上に引き上げる作用があります。
本治法
- 左肺虚証
左太淵を補います。
これで肺だけでなく母経の脾も出ますが、もし脾が依然として虚していて脾経を補わなければならない場合は右の太白を補います。
左足の三陰三陽経は気を下に引き下げる作用があります。
- 左心虚証
左大陵か左神門を補います。
鑑別は脉が良くなる方を使います。
- 三焦経
流産の兆候がある方は、右尺中沈めて命門の脉が弱いので、肺虚証、心虚証とも、左の陽池か三陽絡を補います。
鑑別は脉が良くなる方を使います。
- 用鍼
気虚が甚だしいので、てい鍼を用います。
おさらい
- 肺虚証 左太淵、(必要に応じて右太白)、左陽池か左三陽絡をてい鍼で補う。
- 心虚証 左大陵か左神門、左陽池か左三陽絡をてい鍼で補う。
絶対に肝虚証や腎虚証でやってはならない。
専門書では、腎の封蔵、肝の蔵血の弱りなどとありますが、臨床的には逆です。
補助療法
- 奇経治療
右照海-左列缺と右太衝-右通里に、主穴に5壮、従穴に3壮知熱灸をして金銀粒を貼付します。
照海
列缺
太衝
接合部に取ります。
正経の太衝より随分上に取ります。
通里
腱の尺側で神門の上1寸付近に取ります。
正経では撓側に取りますが、奇経では尺側に取ります。
標治法
- 安産お灸
蠡溝、三陰交、中封、至陰に知熱灸をします。
左右を比べて圧痛の強い側に5壮、反対側に3壮、左右差がなければ3壮ずつ施灸します。
- 蠡溝 内踝から6横指ら辺~その上下の最も陥凹部の圧痛に取る。
- 三陰交 標準位置付近で最も著明な圧痛硬結。
- 中封 前脛骨筋腱の付着部と内踝の尖端を結んだ線上の陥凹部、最も著明な圧痛硬結。
至陰 爪甲根部から指を進めて直ぐ止まる所の圧痛に取る。
セルフケア
奇経と安産お灸の各穴は、自宅でドライヤー灸をしてもらいます。
できれば朝昼晩1日3回、無理でも朝晩はやっていただきます。
おわりに
夫婦仲睦まじく、たくさんの愛で、精一杯の愛で、お互いを思いあってください。
赤ちゃん世界では、一組のご夫婦につき約二万人の赤ちゃんがお二人を競合しています。
赤ちゃんたちが選ぶ理由は様々ですが、共通しているのは、ご夫婦の健やかな輝きです。
光に惹かれるのは私たちも同じですが、彼らもまたそうらしいです。
だから授かりものなのですね。
了
- 安産灸ネットワーク
鍼灸師として周産期医療に携わりたい方は、医療リスクも含め、以下の団体で専門的に学ばれることをお奨めします。
- (一社)東洋はり医学会関西
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