紀州口熊野マラソン2019 鍼灸ボランティア
鍼灸ボランティアを終えて
災害医療やスポーツイベントにおける鍼灸ボランティアは、鍼灸師会、鍼灸マッサージ師会の大切な普及事業の1つです。
私が所属している、(一社)和歌山県鍼灸師会は毎年、紀州口熊野マラソンにて鍼灸ボランティアを行っていますが、今年も大きな事故もなく無事にその任を終えることができました。
関係各位にお礼申し上げます。
中には重篤な症状の方もいましたが、日頃磨いた技量を存分に発揮することができ、しっかりとレース前後のケアをさせていただきました。
大多数の利用者に喜んでいただけたようです。
鍼灸を知ってもらうよき機会となりました。
県外からの参加者も多かったので、お住まいの地域の鍼灸院の受療のきっかけになれば幸いです。
そうなるといいなぁ😊
少し気を大きくして、今回の鍼灸ボラが例え自分たちの鍼灸院への直接の来院に繋がらなかったとしても、この鍼灸ボランティアをきっかけとして、全国の私たちの仲間であるみなさんの所に足を運んでいただけとしたら、それはもう鍼灸会全体で見れば成功なのです。
そうしてそこから先は行った先々の先生方に頑張っていただいて、今まで鍼灸に縁のなかった方々が日々の生活に鍼灸を取り入れていただけるようになり、地域住民にとって鍼灸師は“健幸”な日々を送るためにはなくてはならないパートナーとして活躍の場を広げていただけたとしたら、最高に報われた気持ちになれます。
もちろん、県内の参加者が自分たちの鍼灸院に来ていただけたらやっぱり嬉しいですね😊
全国の先生方、各都道府県市民マラソン鍼灸ボランティアが開催されました折りには、ひとつ気合いを入れてよろしくお願い申し上げます🙇
鍼灸の広報活動には二種類あります。
大きな広報と小さな広報です。
小さな広報とは、各自の日頃の臨床です。
そこからの広がりを小さな口コミとします。
大きな広報とは、業団のブランドを活用して、鍼灸ボランティアや市民講座による一度に大勢への広報です。
そこから不特定多数への広がりを大きな口コミとします。
大小の広報による大小の口コミの喚起は自分のためでもありみんなのためでもあります。
ということで、鍼灸学生のみなさん、業団に所属しておられない鍼灸師の先生方、是非都道府県の鍼灸師会、鍼灸マッサージ師会に入会されて、オフィシャルの鍼灸ボランティアに参加してください。
みんなで一緒に鍼灸の素晴らしさを、鍼灸師の職能を、国民のみなさまに普及啓発しましょう。
よろしくお願い申し上げます🙇
こんなおふざけもできますよ😊
熊野高等学校看護学科の学生さんが受付をお手伝いしてくれました。
未来の多職種連携です。
お疲れさまでした。
柔整師会の先生方もボランティアをされておられました。
ランナーのみなさま、どうかお疲れが出ませんように。
イベントで踊るキッズダンサー。
インタビュアーは和歌山放送の名物リポーターキヨちゃん。
鍼灸ボランティアにおける宮脇奇経治療の即効性×客観性×再現性
今回もやはり、宮脇奇経治療の破壊力は抜群でした。
1人10分という治療時間の制限の中で効果を出し利用者のみなさんに鍼灸ファンになっていただくためには宮脇奇経は最適解の1つです💯
2020のアスリート公式ケアにしてくれへんかなぁ?
世界中のアスリートが助かると思いません😉✨
みなさん、どこへ行くにも奇経テスターと金銀隆と施灸セットを携えましょう。
本日の症例トピックス
本日ケアさせていただいたランナ-の中から印象に残った症例をご紹介します。
☑患者 50代女性ランナー。
☑主訴 足の痙攣ひきつり。
☑現病歴 レースが終わるや否や足がひきつり痙攣が始まった。もはや自力では歩くことができずにお仲間に車イスに乗せてもらってやっとこさ、鍼灸コンデイショニングルームへやってこられた。
ベッドに移動すらできない状態なので車イスのままで、応急処置。
☑宮脇奇経治療 持続されるひきつり痛みに苦悶の表情を浮かべ唸り声が響く。お仲間もただただ心配されている。そんな中、痙攣が治まるまで左太衝-左通里にひたすら多壮灸。
⏩しばらくして、全体の痙攣から部分的痙攣になり、今は左血海付近がひきつるという。
☑子午治療 脾-三焦で右外関にやはり多壮灸。
⏩痛みが和らいできたので、ベッドに移動しようとしたら再び痙攣。
☑宮脇奇経治療 ということで、子午も兼ねて左太衝ー左通里+右外関-左臨泣の奇経パターンに変更して再び多壮灸。
⏩聞けば伊丹から来られているとのこと。このままでは帰っていただけないし何とかしてあげないといけないので、1人10分で治療を終えなければならない決め事があったのだが、鍼灸ボラのリーダーに事情を説明してもう少しかかると無理を聞き入れてもらった。
⏩多壮を繰り返すこと数回、ようやく痛みひきつりが和らぎ痙攣が治まってきた。
⏩ただし、このまま帰して帰りの道中ぶり返してはなんのこっちゃないと思い、ここで本治法をすることにした。
✅脉状診 浮、数、虚。空虚、正に空っぽの脉。相当な血虚だ。
✅比較脉診 肝腎虚、肺脾実、心平。
✅腹診 車イスなので診れない。
✅適応側 病症に偏りなく、女性なので右。
✅本治法 ▶イトウメディカル社製中野てい鍼95㍉にて右太衝を補う。ちなみに中野てい鍼は鋼に焼きを入れているので貧血にもってこいである⏩肝脉が充実▶腎も虚しているので右太谿を補う⏩腎脉が充実⏩血虚だから肝脾相剋証も睨み合わせたが相剋経は整っている⏩陽経を診ると右関上浮かして胃の脉位に邪気実を触れるので▶左右の胃経を切経して最も邪の客している左下巨虚から豊隆にかけて柳下圓鍼にて瀉法⏩脉に和緩を帯び陰陽が整う。
✅経過 これでどうかと尋ねると、動けそうな気がすると仰り車イスから立ち上がろうとして立ち上がれたので、そのまま辺りを少し歩いてもらったら自力で歩けるまで回復。
しばらく歩き続けてもひきつってこない。
痙攣は治まったようで、どうやらこれで無事にご自宅まで帰っていただけそうである。
とってもお礼を言ってくださり、安堵してコンデイショニングルームを後にされた。
筋のひきつり・痙攣の病因病理
汗は白い血です。
多量に発汗すれば血虚になります。
女子の中長距離選手に無月経が多いのはそのためです。
血が筋肉を養っていますから、血虚が著しいと当然のごとく足がつります。
ここまで酷いと急性の亡血といっていいでしょう。
また、血虚は肝虚だけでなく脾虚もあります。
気血生化の原たる所以です。
別の表現をすれば同じ血虚でも、蔵血できないか生血できないかの違いです。
肝血虚だと肝は筋を主るため筋肉のひきつり痙攣が酷いです。
ただし、本症例でもそうであったように、一見物凄く酷く見えても(実際に酷かったですが)蔵血して発散させてあげることさえできれば経過はドンドンよくなります。
脾の津液不足になると、筋病だけでなく悪心嘔吐などの消化器系の症状や、心血虚も伴うので意識レベルが低下してきます。
蔵血に比べ生血は直ぐにはまかなえないので経過に慎重にならないといけません。
救護班から緊急要請を受けて向かった先の救護者が正にそれでした。
痙攣と消化器症状と軽い意識障害がありました。
これは眼神が危うかったので一瞬ヒヤッとしましたが、脉診して胃神根があったのでイケると思って脾虚で治療して、梅干しをなめさせました。
そんな人がもう一人いて、駐在していたドクターと看護師さんと協力して何とか事なきを得ました。
ここでも医療連携ですね。
この救護者のお二方も県外からのエントリーで、それぞれ無事に奈良と枚方に帰っていただけました。
おわりに
救急はやっぱり緊張感があって後から少々疲労感が来ましたが、とっても勉強になりましたので、僭越ながらご報告申し上げます🙇
今回の戦利品は参加賞のTシャツとたくさんの治験から得た経験ですね。
本日、鍼灸コンデイショニングルームをご利用していただいた選手のみなさま。
負傷したり体調が優れないときには、是非お住まいの地域の鍼灸院に足を運んでください。
きっと素敵な先生が、抱える問題を解決してくれます。
そうして、日頃の健康管理にもご活用ください。
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