東洋はり関西STYLEの経絡治療鍼灸臨床症例集

◎症例①

■患者 義父。
■主訴 メニエール。
■現病歴 畑の消毒作業で疲労困憊になり翌朝発症。
ふらつき(肝風)、頚凝り(肝気逆)、目が開けてられない(陽虚)、吐き気(肝脾の失調)。

◎脉作りの臨床における基盤作り

■左Tポイントを補う。
■左脈会右脈会を補う。

◎診察診断

■経絡腹診 肺虚、脾虚、心実、肝実、腎平。
■奇経腹診 督脉。
■脉状診 沈・数・虚。
■比較脉診 肺虚、脾虚、心実、肝実、腎平。
■証決定 肺虚証。
■適応側 男性であり病症に偏りなく左。

◎治療

■本治法 銀寸三一番鍼で左太淵に補法→検脉→肺が出た。脾は依然虚しているので左太白に補法→検脉→脾が出た。相剋する心肝の実が治まる。陽経にも虚実はない。寸関尺が整う。
■補助療法
□宮脇奇経治療 後谿-申脈に金銀粒を貼付してその上から5壮3壮で知熱灸。
■標治法
□第1第2第3めまいふらつき点に刺鍼。
□左沢田流小腸兪に龍仙打鍼。

◎経過

症状軽快。

◎症例②

■患者 40歳代男性。 
■主訴 不眠。
■現病歴 数日前から足が火照って眠れない(腎精の不足と相火の大過)。

◎脉作りの臨床における基盤作り

■左Tポイントを補う。
■左脈会右脈会を補う。

◎診察診断

■経絡腹診 腎虚、肺虚、脾実、心実、肝平。
■脉状診 浮・数・虚。
■比較脉診 腎虚、肺虚、脾実、心実、肝平。
■証決定 腎虚証。
■適応側 男性であり病症に偏りなく左。

◎治療

■本治法 銀寸三一番鍼で左陰谷に補法→検脉→腎が出た。依然肺は虚しているので左尺沢に補法→検脉→肺が出た。相剋する脾の実は治まったが心に虚性の邪が在るので切経して最も反応がある右曲沢に堅に応じる補中の瀉法→検脉→心の実が治まる。陽経は特に何もなし。寸関尺が整う。
■標治法
□左沢田流小腸兪に龍仙打鍼。
□足底の最も硬くて熱い箇所に瀉法。
□全身に気を巡らすように散鍼。

◎経過

症状軽減。

◎症例③

■患者 50歳代女性
■主訴 肩関節痛(精血の不足)。 
■現病歴 今朝から突然左肩が挙がらなくなった。自動では1ミリも挙がらない。他動で15度いくかいかないか。

◎脉作りの臨床における基盤作り

■左Tポイントを補う。
■右脈会左脈会を補う。

◎診察診断

■経絡腹診 肝虚、腎虚、肺実、脾実、心平。
■奇経腹診 任脉。
■脉状診 浮・数・実。
■比較脉診 肝虚、腎虚、肺実、脾実、心平。
■証決定 肝虚証。
■適応側 女性であり病症が左に限局しているので本来は右であるが、肩関節は同側の肝が多いので左とした。

◎治療

■本治法 銀寸三一番鍼で左曲泉に補法→検脉→肝が出た。腎は依然虚しているので左陰谷に補法→検脉→腎が出た。相剋する肺脾の実が治まる。陽経にも邪はなく、寸関尺が整う。
■補助療法
□宮脇奇経治療 列缺-照海に金銀粒を貼付してその上から5壮3壮で知熱灸。
■標治法
□肩関節痛点(肩甲棘の外端)に刺鍼してパイオネックスzeroを貼付。

◎経過 

自動で90度まで挙がるようになる。
本治法で生気を補い、生気を妨害する邪気を瀉し、生命力を強化することを治療の第一とします。
そして、病体に応じた標治法ととびっきりの補助療法を適宜用いて、阻滞を疏通し症状の緩和をはかります。
本・標・補助からなる三位一体型の術式で、早期回復に努めるのが、『東洋はり関西STYLE』の経絡治療です。

ONE

鍼灸師の鍼灸師による鍼灸師のためのowned 鍼灸にはあらゆる流派や様式が在ります。 この多様性が日本鍼灸の優秀性のひとつだと 感じています。 各流派に優劣は在りません。 それぞれに素晴らしい学術があり、互いを高め合う間柄です。 流派は違えど、患者を病苦から救うという同じ使命を持った鍼灸師です。 元々1つです。 互いを認め高めあい、上工に成れるように、願いを込めてこの名前を付けました。 ONE