咳の鍼灸治療

ここ最近咳で見えられた患者さんの証と治療を覚えている範囲で大雑把にまとめてみました。
①50歳代男性、風邪咳。
■肝肺相剋証
□柳下てい鍼で右曲泉、右陰谷、左魚際に補法。
□柳下圓鍼で左上巨虚に瀉法。

②4歳の男の子、RS咳。
■肺虚証
□小里てい鍼で左魚際、左太白に補法。

③1歳の男の子、風邪咳。
■肝虚肺実証
□小里てい鍼の尻尾で左曲泉、左陰谷に補法。
□小里てい鍼の頭で右孔最~尺沢にかけて瀉法。

④5歳の男の子、喘息咳。
■腎虚証。
□小里てい鍼で左の復溜に補法。

⑤5歳の男の子、喘息咳。
■肝虚肺実証
□小里てい鍼の尻尾で左太衝、左太谿に補法。
□右孔最~尺沢にかけて小里てい鍼の頭で瀉法。

⑥1歳の女の子、風邪咳。
■肺虚肝実証
□小里てい鍼の尻尾で右尺沢、右陰陵泉に補法。
□小里てい鍼の頭で左太衝に瀉法。

⑦5歳男の子、風邪咳。
■腎虚証
□小里てい鍼で左復溜に補法。

⑧60歳代女性、気管支炎咳。
■肝虚肺実証
□銀寸三一番鍼で左曲泉、左陰谷に補法。
□コバルト寸三二番鍼で右尺沢に枯に応じる補中の瀉法。右豊隆に枯に応じる補中の瀉法。

⑨小5の男の子、マイコプラズマ肺炎咳。
■腎虚脾実証
□銀寸三一番鍼で左復溜に補法。
□コバルト寸三二番鍼で右陰陵泉に弦実に応じる瀉法。左懸鐘に枯に応じる補中の瀉法。

⑩小6の男の子、マイコプラズマ肺炎咳。
■肝虚肺実証
□柳下てい鍼で左中封、左復溜に補法。
□柳下圓鍼で右経渠~列缺にかけてに瀉法。右豊隆に瀉法。

⑪60歳代女性、間質性肺炎咳。
■腎虚証。
□銀寸三一番鍼で左陰谷、左魚際に補法。
□コバルト寸三二番鍼で左豊隆に塵に応じる補中の瀉法。

⑫60歳代女性、間質性肺炎咳。
■脾腎相剋証
□柳下てい鍼で右太白、右大陵、左太谿に補法。
□柳下圓鍼で左豊隆に瀉法。

だいたい本治法はこんな感じです。

補助療法/標治法は、
■風邪からきている咳には、
□孔最-照海に奇経治療。
□大椎・風門に知熱灸。
■肺炎からきている咳には、
□照海-列缺+陥谷-合谷。
等々を多用しています。

東洋医学から観た咳は肺臓の変動です。
肺虚か肺実です。
外感病は肺実が多いです。
肺虚は少ないです。
元気なお子さんは単純に肺虚で成功するものが多々あります。
雑病でも肺実が多いです、ただし慢性化して肺虚になってくるとより重篤になります。
喘息における虚喘・実喘と一緒で、実証の方が目に見える症状は激しいですが邪気を瀉せば軽快していきます。
虚証は中々に頑固です。
余分なものを取るよりも不足しているものを増す方が治療は難しいということです。

詳しく以前の記事を参照してください。
題名は違いますが、後半で咳・喘・哮の病因病理を解説しています。↓

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鍼灸師の鍼灸師による鍼灸師のためのowned 鍼灸にはあらゆる流派や様式が在ります。 この多様性が日本鍼灸の優秀性のひとつだと 感じています。 各流派に優劣は在りません。 それぞれに素晴らしい学術があり、互いを高め合う間柄です。 流派は違えど、患者を病苦から救うという同じ使命を持った鍼灸師です。 元々1つです。 互いを認め高めあい、上工に成れるように、願いを込めてこの名前を付けました。 ONE