寝違いの鍼灸治療
■症例
□患者 義母。
□現病歴 今朝起床後から右の首に違和感を感じ、義父に揉んでもらったら直後は気持ちよかったが程なくして余計に痛みが強くなってきた。
右回旋、後屈で痛みが増悪する。
回旋は手太陽経筋、後屈は足太陽経筋の変動。
■脉作りの臨床における基盤作り
□左Tポイントを中野式柳下てい鍼で補う。
□右→左の順に脈会を中野式柳下てい鍼で補う。
■診察診断
□腹診 脾最も虚、心次いで虚、肝最も実、腎次いで実、肺は平。
□脉状診 浮・数・虚
□比較脉診 脾最も虚、心次いで虚、肝最も実、腎次いで実、肺は平。
□証 脾虚証。
□適応側 右の首が患側なので健側の観点から本来は左側が適応側になるが、首から上は陰経・陽経共に同側が影響するため、敢えて右側を適応側とした。
■治療
□本治法 右太白を補う→検脉→心も虚しているので右大陵を補う→検脉→肝腎の実が治まる。陽経にも邪は見当たらないので脉は整ったとした。
□補助療法 奇経では回旋は陽維脉、後屈は足厥陰脉か陰キョウ脉が多く、今回は陽維脉+陰キョウ脉として、左照海-右列缺+右外関-左臨泣に金銀粒を貼付してその上から5壮3壮で知熱灸。
□標治法
◆回旋に対して患側の天容、後屈に対して第2第3頚椎棘突起間に刺鍼。
◆経筋治療。患側の前谷に体幹に向けて皮内鍼を貼付。
■経過 痛み軽減、可動域改善。
■反省と考察
急性の痛みは患部に強い刺激を与えると悪化する可能性があります。
本人はどうしても押したり揉んだりしたくなりますができるだけ控えてもらうようにしています。
治療も局所は最終手段にしてできるだけ触らなくていいように遠隔的なツボを使って少しずつ様子を見ていった方が危なげないです。
奇経や経筋は使い勝手がいいです。
局所を触る場合は外虚を補って内実を取るようにします。
効を焦って強い刺激を与えると失敗する危険性があります。
急性期は良くするというよりかは来たときよりも悪くしないで帰すくらいの心持ちで丁度いいと思います。
治らなかったらまた来てくれますが、悪化させたら二度と来てくれません。
一度でよくしようとは思わずに、よくなるまで来てくださいと言って、ドーゼを過ごすことなく経過をみていくことが大切です。
本治法の適応側についてはこちらを
参照してください。
首の補助療法、標治法についてはこちらを参照してください。
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