災害医療と鍼灸師について
初動
災害が発生します。
DMAT(災害派遣医療チーム)が被災地に入り、多数の重症患者が発生した際に、平時の救急医療レベルを提供するため、被災地の外に搬送する、広域医療搬送など、機動性、専門性を生かした多岐にわたる医療的支援を行います。
構成員は、医師、看護師、業務調整員(救急救命士・薬剤師・臨床工学技士・臨床検査技師・理学療法士・作業療法士・放射線技師・社会福祉士・コメディカル・事務員等)です。
災害支援鍼灸ボランティア
避難所が開設されます。
鍼灸師による医療支援が始まります。
対象となるのは被災者と支援者です。
被災者の不定愁訴の治療、生活不活発病の予防、支援者の疲労除去を行います。
先のDMAT(災害派遣医療チーム)と協力して、(公社)日本鍼灸師会、(公社)全日本鍼灸マッサージ師会の会員で構成される災害支援鍼灸師合同チームが被災地に開設された避難所に赴き鍼灸ボランティアを行う体制が採られています。
災害支援鍼灸ボランティアの意義
- 被災者とそれを支える支援者の心身のケア
- 国民への普及啓発
- 鍼灸師の学術の向上
特に被災者とそれを支える支援者の心身のケアはとても意義があります。
日中、地震であれば壊れた自宅の、水害であれば泥のかき出しや流木の撤去作業に出られます。
そういった作業で負った疼痛や持病の悪化による体調不良をケアすることで、明日また元気に作業に向かえます。
お手伝いするボランティアや避難所を運営する自治体の職員も疲労困憊です。
このような支援する人たちをケアすることで引き続き被災者を支援することができます。
被災者と支援者の心身をケアすることで復旧作業が進みます。
復旧作業を滞りなく進めるためには被災者と支援者が健康でなければなりません。
これを担うのが災害支援鍼灸ボランティアです。
復興のそばに鍼灸の力とされを担う鍼灸師がいる。
これほど意義のある普及啓発はありません。
生活不活発病
多職種連携
避難所では多職種が支援を行います。
例えば栄養士ー
避難者に糖尿病患者がいた場合、その栄養指導を行います。
あるいは理学療法師ー
生活不活発病を予防するために、体操などの運動を啓発します。
多職種の連携が大切です。
大規模災害発生時の多種多様な状況に適切に対応できる技術・知識を有する医療技術者の育成を図っているのがJIMTEF 災害医療研修です。
研修会を構成するメンバーは、
☑一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
☑一般社団法人 日本病院薬剤師会
☑公益社団法人 日本理学療法士協会
☑一般社団法人 日本作業療法士協会
☑公益社団法人 日本栄養士会
☑公益社団法人 日本視能訓練士協会
☑公益社団法人 日本歯科技工士会
☑公益社団法人 日本柔道整復師会
☑公益社団法人 日本歯科衛生士会
☑公益社団法人 日本臨床工学技士会
☑公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師
☑公益社団法人 日本あん摩マッサージ指圧師会
☑公益社団法人 日本鍼灸師会
☑日本製薬工業協
☑一般社団法人 日本医療機器産業連合会
☑一般社団法人 日本義肢装具士協会
☑特定非営利活動法人 診療放射線技師国際協力協会
☑一般社団法人 日本言語聴覚士協会
☑公益社団法人 日本介護福祉士会
☑公益社団法人 日本医療社会福祉協会
☑一般社団法人 日本臨床心理士会
(加盟順)
から専門職が参加し、災害医療に必要な技術と知識を学び、交流します。
災害支援鍼灸ボランティアの課題
被災県の鍼灸師会、鍼灸マッサージ師会に対策本部が置かれ、合同チームが鍼灸ボランティアを行います。
あるいは被災状況により近隣の県師会がその任を負います。
どちらにしても、それぞれの日常があります。
臨床があります。
その空き時間にあるいは仕事を終えてから活動を行います。
休む暇がありません。
マンパワーの不足です。
大都会の師会ならまだしも、地方で災害が発生した場合はより顕著になります。
地元の先生方の負担を減らすために全国からの応援が必要になります。
そうして全国から応援に駆けつけた鍼灸師がスムーズに避難所に赴き活動を行うためには、県と師会が防災協定を結ぶ必要があります。
現在、防災協定を締結しているのは岡山県と滋賀県だけです。
大規模災害に備え各地で防災協定の締結が急がれます。
(公社)日本鍼灸師会全国大会で詳しく学ぶことができます。
最後に、岡山、広島、愛媛などで災害支援鍼灸ボランティアに従事されている先生方、どうぞご自愛くださいませ。
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