症例.小児の全身性の水イボ
☑患者 3歳女児。
☑主訴 全身性の水イボ。
☑現病歴 半年前に発症。痒くて痒くてたまらない。首、背中、胸、お腹、脇腹、手足にまんべんなく出ていて掻き痕が傷になっている。
☑起こし鍼 神童てい鍼。
☑経絡腹診 肝腎虚、肺脾実、心平。
☑脉状診 浮、数、虚。
☑比較脉診 よくわからない。
☑証決定 肝虚証。
☑適応側の判定 女児なので右。
☑本治法 イトウメディカル社製中野てい鍼小里モデルの尻尾の方を右中封に当て五行程補う。右復溜にも同様の手技で補う。
☑標治法
✅痒み止めに、前肩髃と蠡溝に右に10壮、左に4壮無熱灸。
✅霊枢経脈篇に倣い虚している側の支正に無熱灸20壮。
✅ステンレス鍼1寸3分1番の先を指先から出るか出ないかぐらいで母指と示指でつまんで患部を瀉的に散鍼し、その後を追いかけるように皮膚に艶が出るのを限度にドライヤー灸。
☑止め鍼 左合谷にてい鍼の頭の方でチョコン。
☑セルフケア 前肩髃と蠡溝に右5壮左2壮、右支正に10壮ドライヤー灸、患部を亀の子ダワシで痛くないように数回トントンして、砂糖を塗って15~20分放置して洗い流すように指導。
☑経過 1回目の治療で7割のイボが消失。2回目で全治。
☑反省と考察 これも胎毒かと思われます。
※胎毒については以下のリンクをご覧ください。
肝虚証で治ったということは、瘀血より派生した邪熱が肝陰肝血を焼き払ったことによって亢ぶった肝火が皮下に停滞してイボをこしらえ、風邪の遊走性に載って全身に広がったと考察します。
聖典『霊枢』経脈篇に、小腸経が虚すとイボができるか、指間に小さな痒いものができるとあります。
小腸経が虚ということは表裏の心が実です。
相剋する腎や肺の虚証が立ちますが、子午陰陽関係から肝虚証も立つということです。
本症例は血燥だったというわけです。
病因病因に基づき、五臓を原とする主たる変動経絡の虚実を弁え、補瀉調整する本治法で生命力を強化し、病体に応じた補助療法や標治法を施すことで早期回復を図ることができます。
本標は車の両輪の如くです。
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